それはある日の早朝のことでした。いつものようにねぐらですやすや眠っていたチャロとドレッドを突然けたたましい音が襲います。
「ガチャガチャ!」飛び起きて見ると、空き缶の山の上で奇妙な風貌の鳥が笑顔でこっちを向いていました。
「やぁ、ども!あれ、起こしちゃったみたいだね、悪い悪い。ただ、この缶から中身を取り出したかっただけなんだけど・・・」
なんというう軽~い口の利き方でしょう。これが渡り鳥サリーでした。まぁ初対面というのに・・・。
「うるさい鳥だ!何やってるんだ。失せろ!」ドレッドはサリーを一喝して、ねぐらに戻りますが、チャロはサリーに興味を覚えて残っていました。
「オーコワ!彼はキミのおじいちゃんかい?」
「ドレッドがおじいちゃんって?違うよ」
改めて挨拶をして、サリーは自分は世界中を飛んでいると自慢し、チャロにどこから来たのかと尋ねます。
チャロが日本から来た事を知り、
「日本へも行った事があるゾ」
「本当?」と聞くチャロに、
「俺様を誰だと思うんだい?世界中、どこでも行けるんだゾ」
日本のどこに行ったの?と聞くチャロに、
「えっと、それはその~~。チャロはどこから来たんだい?」
「東京だよ」
「東京か・・・、そこはまだ・・・。いろんな所には行ったんだけどね。
南のほう、そうだ!ペンギンだろ、ライオンだろ、シマウマも・・・」と、
なにやら怪しいことを口走ります。
「ペンギンだって??ホントかい?」と突っ込まれ、
「そ・そういえば、大きな山があったよね?」
「富士山だ!」
「そ!そのフジサン!!」
「いいなぁ、ボクも戻りたい。」
「そんなの簡単だよ。ただ羽ばたけばどこにだって行けるよ、日本にだってね」と気軽に言うサリーに、
「ダメだよ、ボクは犬だもの、羽根を持っていないから」
「じゃ、日本に戻る方法はないねぇ・・・」
「えぇ??そんなぁ~~」と落ち込むチャロ。
そんなチャロをみかねて、サリーはあることをアドバイスします。
「そんなに落ち込まないで・・・そうだ!西へいけばいいさ。日本はアメリカの西にあるんだから」
「西へ?西へ行けばいいんだね!わかったよ。サリーありがとう!!」
そしてサリーはノリノリで陽気に歌いだしました♪
歌い終わり、
「チャロ、人生はくよくよ過ごすこともできるし、ニコニコして過ごすこともできる。どっちがいい?」
「もちろん、ニコニコしていたい!」
「そうだろ?ハハハ!!!」二人は笑い出します。
チャロは、本当に楽しそうに笑いました。
「うるさい!!何時だと思っているんだ!!とっとと消えろ!!」
静かな眠りをジャマされたドレッドは、一喝してねぐらに戻ります。
「サリー、また行っちゃうんだね、気をつけて!!」
「ありがとう、チャロ。忘れないで、日本は西にあるということを。」
サリーが飛び去ったあとには、静寂が戻ります。
「ウエスト!」この言葉とともに・・・
