「俺のために夢をあきらめるなんて迷惑な話だ」
ニューヨークに戻ってきたチャロに、自分のうれしさよりも、あくまでチャロの夢を叶えさせてやりたいという願いを、厳しい言葉で表してしまうドレッド。
ローザにもらったソーセージは、プリプリしてジューシー。きっとドレッドを元気づけてくれる・・・。
チャロは嬉しそうにドレッドのもとへ運んで、
「さぁ、一緒に食べようよ!」としっぽを振ります。
しかし、ドレッドは
「チャロ忘れたのか?手に入れた食べ物を、ほかの誰かと分けあおうなんて考えるんじゃない。」
厳しく言います。
「腹が減っているだろう?」
「うん。だけど・・・」
「じゃ、食べるんだ。それはお前のソーセージだからな」
「チャロ、よく聞きんだ。もし食べ物を手に入れたら、自分のためにとっておくものだ。おれたち野良犬はそういうものだ。食べろ!」
「いやだ!ドレッドが食べないなら僕も食べない」とチャロも譲りません。
「意地を張ってもどうにもならないぞ。」
ドレッドとチャロは2匹ともソーセージには近づこうともしませんでした。
夜が来て、胃袋が「グゥ~」と悲鳴を上げ・・・
朝が来て、胃袋が再び「グゥ~」
「わぉ!なんとうまそうな食べ物だ!!神様のプレゼントだ!!」
目が覚めたチャロはびっくり!
なんとサリーとその仲間達が、あの大切なソーセージを食べているではないですか!
「だめ!!サリー・・・そのソーセージは僕たちのものだよ。何するんだよ!!」
チャロがサリーの元へ駆けつけたときはすでに遅く・・・
サリー以外の鳥は飛び去って、周りを見回すと、ほとんどソーセージは消えていたのです。
ショックを受けたチャロは、
「サリー・・・どうして?これはドレッドとボクが一緒に食べようとしていたんだよ!なのに・・・」
「いや、腐りかけていたからムダになるのを防いであげたのさ」と、サリーは言い訳をします。
しかし、さすがのサリーもチャロの悲しそうな顔に、1本だけ背中に隠して残っていたソーセージを差し出し、おわびを言って飛んでいきました。
あんなにたくさんあったソーセージが・・・一本だけに・・・。
「さぁ、わかっただろう?これが現実だ。くれてやったら負け。手に入れたら勝ちなんだ。食べろ!」
あまりにも思いがけない出来事に、チャロは泣きべそをかきますが、ドレッドは、再び諭します。
それでも、その一本をドレッドと半分に分けようとお願いするチャロ。
「チャロ!お前は・・・」
「だって、ボクはドレッドと一緒に食べたいんだ!一緒に食べようよ!!」
わぁ~~ん・・・泣き出すチャロに、
「わかったよチャロ。お前の勝ちだ。一緒に食べよう。」
「ホント?」
「さ、泣くのはやめて食べるんだ」
「ウン!」
チャロは自分の分のソーセージにがぶっと食いつきました。
それは、なんと美味しいソーセージだったでしょう。
ドレッドは、そんなチャロを静かに見守るのでした。
こんなに、自分を思ってくれる犬がいるなんて・・・ドレッドはうれしかったでしょう。
それでも、素っ気無い態度は変わらないドレッド。それはきっと、ニューヨークで生きてゆく厳しさをチャロに教えようとしている「親心」の表れでしょうか?
