ローザとマルゲリータがマイアミに去って、食べ物を見つけるのはとても難しくなりました。
チャロは、ドレッドのためにも一生懸命食べ物を探しますが、ニューヨークの野良犬にとってそんなに甘くありません。
ある夜、チャロはふと目を覚ますと、ドレッドがうなされているのに気づきます。
「ドレッド、どうしたの?」
「大丈夫だ」
しかし、彼の様子を確かめようと近寄って体を触ると、
「ドレッド!熱があるよ!」
「大丈夫だと言ったろう?」
しかし、水を汲んでくるのも・・・
どうしてよいかわからないチャロは、ペロペロとドレッドをなめると、少しは楽になったようでした。
「そういえば、俺たちはちゃんと話し合う機会がなかったな。」
「なぁ、チャロ。シカゴはどうだったんだ?」と尋ねてきます。
チャロは、マルゲリータから言われて、ルイーザを探し出すまでのことを話します。
そして、
「ルイーザとエイミーの家に招かれたんだ!」
「そこで、カードで占ってもらったんだけど、シカゴよりニューヨークにいたほうが日本へ帰れるチャンスがあると言われたんだ。」
と、そのときの思いがけない結果を知った心境も。
「そうだったのか・・・」
「チャロ、日本はどんなところなんだ?」とドレッドは続けて尋ねてきます。
「お前と出会わなければ、日本のことなんか知ろうともしなかったろうがなぁ~」
すると、チャロは春のサクラの思い出を語ります。
「高いビルがいっぱいあって、人も多いし、ニューヨークみたいだ」
「そうだ!日本ではね、春になるとサクラが咲くんだ。ピンクの花がそこらじゅうに咲いて、街がピンクに染まるんだ!風が吹くと、ピンクの雪がたくさん降っているようで、まるで夢の世界のようだったよ!」
ドレッドはそれを聞いて、
「そうか、それがほんとうなら、一見の価値があるな。」
「本当だよ!翔太のお母さんが大好きだった花なんだ。」
「ドレッドにも見せてあげたいなぁ~」
ウ~ン・・・と再び呻くドレッド、少し話しすぎて疲れたようでした。
「なに?何かできることは?何でも言って!」
ドレッドは目を閉じ、「おまえがいつか日本へ帰ったら、おれに・・・」と言いかけてやめてしまいます。
「いや、なんでもない」
「でも・・・」
「さぁ、寝よう」
そして2匹は再び眠りに落ちるのでした。
寄り添って寝ている2匹はちっとも似ていないのに、まるで父子のようにみえました。
二匹は、夢の中でサクラの花吹雪を見ているのでしょうか?
