火事があった2・3日後のこと・・・。
ローザとマルゲリータがマイアミの新店舗の準備で一時的に帰ってきました。
それを聞いたチャロは、さっそく店へ駆けつけます。
マルゲリータもチャロの姿を見るや、外へ飛び出してきました。
「マルゲリータ!!」
「シリウスから火事のことを聞いたわ。チャロ、ドレッドは大丈夫なの?」
「うん!大丈夫。」
「そうそう、おなかが空いているでしょ。ちょっと待って・・・」
どっさりかごに載った、見るからにおいしそうな食べ物の山を持ってきて、
「チャロとドレッドによ!」
「わぁ~ありがとう!!」
「それにしても、ドレッドがあのキャサリンを救うなんて、本当に奇妙な巡りあわせだわ。」
「あのキャサリンって、それどういう意味?」
微笑を浮かべて「それはね・・・」
チャロに語ったのは・・・ドレッドの過去でした。
「ドレッドは昔は陽気で社交的でとってもフレンドリーだったの。」
「えっ?ドレッドが??」
「2・3年前、人間の女の子が車に轢かれそうになったの。それを見たドレッドは、ジャンプして女の子を歩道へ突き飛ばして救ったのよ」
「ドレッドが?」
「その子は足をくじいたけど、それ以外はピンピンしてたわ!」
「わぁ、凄いや!」
「でも、そのとき歩道を歩いていたキャサリンはね、女の子を襲っていると勘違いして警棒でひどく打ったの。」
「そんな~~」
「それでドレッドは右目の視力を失い、それ以来、人間を信用しなくなったの。」
「うそだと言ってくれ!」
それを立ち聞きしていたシリウスは思わずと叫びます。
「あら、シリウス。残念だけど本当のことよ。それ以来ドレッドは皮肉っぽく、人を小馬鹿にしたような、気難しいヤツになってしまったけど、彼ははじめからあんなふうだったわけじゃないのよ。」
「そんなことがあったのに、キャサリンを助けたの?」
チャロも信じられなくて問いかけます。
「そうなの、そのことが奇妙だといってるのよ。でも彼は以前の自分に戻ってきているわ、本来のドレッドにね。チャロに逢ってからよ。」
「知らなかった・・・」
ひどくショックを受けた様子のシリウスを見て、マルゲリータは
「そうそう、キャサリンの様子は?」
「あ、あぁ・・・大丈夫です。ちょっと足首をくじいただけで・・・」
二匹に別れを告げ、チャロは食べ物がたっぷり入ったカートをドレッドの元に引きずって帰ります。
「ドレッド!マルゲリータがくれたんだ!一緒に食べよう!」
夢中で食べる二匹。それは本当においしい食事でした。
「ねぇドレッド。なぜキャサリンを・・・火事の時救ったの?」
ドレッドはしばらくチャロを見つめ、
「お前のせいさ・・・」
「えっ?」
小さな声でつぶやくドレッド。それは、いつも真っ直ぐなチャロと出会って、本来の自分に変わっている事に気づいたからでしょうか。
そんなそぶりも見せず、ドレッドは自分の分を平らげると、横になっていびきをかき始めました。いつものように・・・。
こういうことは、なかなか素直に言えないようです。
まだまだ素直になりきれていないドレッド。これは、親(?)にとっては難しいことでしょうか?
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