ブロードウェイになじんだチャロは、散歩の途中でシリウスと再会。
警察犬をやめ、パートナーだったキャサリンも本屋を継いで、今は一緒に穏やかな生活を送っているという。
さて、自分の脚本を見てくれと、あのミュージカル『赤い星』の演出家のマネージャーに頼み込んだトモコ。いよいよ明日は、その期限の火曜日。
そして、トモコは食べることも忘れ、何時間もパソコンと格闘して脚本を作り上げつつあります。
チャロは心配です。
「いい?トモコは今追い込みにかかっているから、静かにするのよ?」
「ワン!」『わかったよ、ジェーン』
「でもルイは・・・」
『なんだって?僕だって静かにしているさ!それなのに、フガフガ~』全部言い切らないうちに、口をふさがれてしまいます。
突然、トモコは部屋から出てきますが、顔色が悪くてちょっとぐったりして見えます。
「もう書けたの?」
「う~ん、まぁ、何とか・・・」
「良かったわ。私は出かけるけど。サンドイッチを作ってあるから後で食べてね」
「ありがとう!行ってらっしゃい~」
「はぁ・・・」
チャロとルイは、トモコが何か言うかと静かに見守っています。
「あら?君たち。最初の観客になるのね。ねぇ、ストーリーを聞きたい??」
「ワン!」「ワン!!」
「それは『イエス』ってことにしておくね。」
「ワン!」
「よし、じゃあいくよ。コホン・・・」
トモコはチャロとルイにその物語を読んで聞かせました。
それは恋を取るか友情をとるか、悩む女性の悲しくも美しいストーリー。
・・・
ある国に、戦争によって引き裂かれた若い女性がいたのよ。
異国に来ていた男性とその国の女性は恋に落ち、婚約。ところが、結婚の直前に戦争が勃発し、男は自分の国に帰ってしまったの。
そこで、女の人は、必死の思いで彼のもとに渡る手だてを探すのね。
『なんというストーリーだ!世紀の最高傑作だ!!』我を忘れて、ルイは叫びます。
『シーッ、ルイ!!』
そして、ある日彼の住む国へに向かう最後の船のチケットを一枚の手にします。
でも、彼女の友達は、父親が命に関わる病気になり、どうしても戦地に渡りたかったけど、チケットはもうなかったのよ。
彼女は悩んだわ。彼に会いたい・・・
でもね、最後は友達にそのチケット、つまり最後の一枚を渡すの。
・・・
それは感動的な人間ドラマでした。
ハートをつかんで離さない、ハラハラドキドキもいっぱいです。
チャロとルイは感動してしまいました。
『悲しくて美しい・・・僕、大好きだよ』
『本当だ!なんと感動的なストーリーなんだ!!ウウウ・・・』ルイは涙にむせびます。
「チャロ、もしキミだったら友達のために最後の一枚のチケットを渡せる?」
「クゥーン・・・」(僕は・・・できるかどうかわかんないよ)
「私はそんな人になりたいわ!」
翌日、トモコは脚本を完成させ、犬たちを連れてポストへ向かいますが、いざ投函となると、急に作品の出来に自信がなくなります。
「もっと時間が必要よ。ダメよ、出せないわ・・・」
『トモコ、夢を叶えるんだろう?』
『そうさ!今出さなかったら、あとはないよ!』
しかし、そのまま引き返そうとするトモコ。その肩は震えて・・・
そのとき!彼女から、封筒を奪ったのはチャロでした。
ポストまで戻ったチャロは、
「ルイ!手伝ってよ!!」
「え?よし、わかった!」
ルイの背中に上ったチャロは、ジャンプしてポストに投函しようとしますが、差し出し口まで届きません。
『もっと!』
『こうか?』
『もう少し』
キャン~
『もう一度、頑張れ!』
しかし、何度も地面に叩きつけられるチャロ。
『ヨイショ!エイ!あ~ん、届かないよ~~』
それでも、繰り返す二匹の犬たちは、この美しい物語にはもっと大勢の観客がいるべきだ、と心から信じていました。
だから、何とかポストに投函しようとトライし続けます。
この二匹の行動を見たトモコ。
「君たち・・・わかったわよ!」
トモコは彼らのメッセージを理解して、チャロの口から封筒を取り上げ、ようやく自ら投函したのでした。
『トモコ・・・』
「ありがとう!ルイ、チャロ!」
トモコにとって、それは大きなステップでした。
それはチャロにとっても同じです。
