チャロとドレッドの耳に、イタリアン・レストランから陽気な大声が響いてきます。
その声を聞いた途端、ドレッドは「うるさいのがきた」と顔をしかめますが、チャロには何のことかわかりません。
「誰?」
「マルゲリータだ」
「へぇ、ピッザみたいだね!」
勝手口に近づいてきたその声の主はマルゲリータ。その上、彼女は首にバスケットをぶらさげています!
マルゲリータは陽気な口調でドレッドに話しかけます。
「へぃ!ドレッド。元気だった?」
しかし、ドレッドはかかわりたくなさそうで、目もあわせようとしません。
「今日はなんと素敵なお天気だこと。そう思わない?それに・・・」
「フン・・・」
一方的に話しかけるマルゲリータは、ふとドレッドが連れているチャロに気がつくと、
「おやまぁ!かわいい子犬ちゃん!」と、今度はチャロに猛烈な勢いでしゃべりかけてきます。
「なんていう名前なの?」
チャロは彼女の早口な英語にちんぷんかんぷん。
「えぇ?」
マルゲリータはそんなチャロにおかまいなしで、どんどんヒートアップ。
口をあんぐりあけるチャロは、やっとの思いで
「あ・あの・・・オバサン・・・」
「え?だれだって?マルゲリータよ」
「えーと、もっとゆっくり話してもらえませんか?」
「こいつは日本から来たんだ。もっとゆっくり話せ。お前のマシンガン・トークはわからない」
「おや、これは失礼。私は、マルゲリータ!」
「日本からなんて、なんて遠いところから、ようこそニューヨークへ!」
「ゆっくり話せ!」
「あなたの家族は?」
「日本に戻っちゃったの」
「捨てられたのね?」
「違う!間違って残されちゃったんだ!」
「オーケイ!私がいるわ、マルゲリータがね。いい?」
ようやく、お互いの自己紹介ができました。
「ところでチャロ、一緒に買い物に行かない?」マルゲリータはチャロをショッピングに誘います。
「犬が買い物?」と、チャロはびっくりしつつも興味津々。
「ねぇ、ドレッド。どう思う?」
「街を見るチャンスだ。行って来るといい」。
「ウン!」
チャロはなんだかうれしくなり、マルゲリータと歩き出します。すると、暖かい春の日差しの中、マルゲリータは陽気に歌い始めるのです。
「ニューヨーク、ニューヨーク、世界一の魅惑の街♪」・・・と。
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