「お前はチャロの母親か?なぜ彼に言わないんだ?」
カノンは眠り続けるチャロの姿をじっと見つめ、悲しそうな顔でナムタカに打ち明けます。
「そう。私はチャロの母親です。でも、私の体は死んでいる。もう現世に戻れません。だけど、あの子は生きているんです!もし彼が本当のことを知ったら・・・だから死の国についてこないように、正体を明かさないのです」
「見てください。あの足輪はもともと私がつけていたものなの。」
なんと、チャロの足輪はカノンがチャロに残した唯一の形見だったんです!
「私が母親だと知らなくてもいいんです。ただあの子が強く生きてくれれば。」
「なんと!つらい決断をしたものだ」
「ええ。でもそうしないと・・・」
そう言い、静かに宿を出てゆくカノン。
そんなことを知らないチャロは、毎日多くの住民に問いかけ、翔太を探し続けるのですが、何の情報も得られません。
突然、大きな黒い犬が話しかけてきました。
「なぜお前のような小さな犬が、このミドル・ワールドに居るんだ?」
「ボクはまだ生きています。でも、飼い主を探しているんだ。9歳の男の子で名前は翔太。見かけませんか?」
「いや、そんな少年は見たこともない」
「そうですか・・・」
疲れ果てて戻ってくるチャロ。そしてそんなチャロを毎日心配そうに見守るカノン・・・。
ある日、そんなチャロにカノンは声を掛けます。
「おはようチャロ。大丈夫?」
「ありがとう」
「1日くらい休んだら?私が代わりに探しましょうか?」
「それはできないよ。翔太はボクの力で探さなきゃだめなんだ!」
「でも・・・」
「翔太はボクが連れて帰る。彼はボクの大切な人だから」
「そう、翔太はあなたのお母さんみたいな存在なの?」
「うん。捨て犬のボクを拾って育ててくれた翔太は、誰よりも大切な親のような存在なんだ。あの足輪は翔太との友情の印で、翔太がくれたもの。悲しいときはこれを見るんだ」
「そう、あの足輪は大事なものなのね?」
「そうさ!」
こみ上げてくる涙を我慢し、カノンは笑顔で言うのでした。
「じゃ、翔太が早く見つかるように祈っているわ。」
「ありがとう!カノン」
チャロはカノンの元を去って行きます。疲れのせいかちょっと片足を引きずって、それでも元気に・・・。
「チャロ、あなたは本当に強い子になったのね。私はあなたのことをとても誇りに思うわ。」
