「ドゥーマ!」情報屋ジョニーが言ったように、大きな木の下でドゥーマを見つけムウが叫びました。
うれしそうにムウとチャロはドゥーマに駆け寄ります。
「ドゥーマ、大丈夫?よかった!」
「ムウ、チャロ」ドゥーマも笑顔で…。
「ドゥーマ、ぼくたち本当に心配したんだよ。」
「そうよ!もうあんなこと、私たちに2度としないで!」
チャロも、ほっとしています。
「ゴメンね。」
すると、ドゥーマはヘナヘナと座り込んでしまったのです。
「大丈夫かい?」
「しばらく何も食べていないんだよ」
「これを食べて!赤い実でおなかいっぱいになるのよ。」ムウは赤い実を数個ドゥーマの口に押し込みます。
「そんなにあげたらだめだよ、ムウ。」
「あっ、そうだったわ」
しかし、すでに遅く、ドゥーマはあっという間に赤い実を食べてしまいました。
「ファーア…」
今度はムウとチャロが木の下に座って待つしかありません。
夕方になり、ドゥーマがやっと目覚ます。
「チャロ、ムウ。ぼく寝ちゃったんだね」
「いいのよ。でもどうしてここへきたの?」
「ぼく、狩をしてみたかったんだ。」
「でもあなたはチータでしょう?狩りなんていつもやっていたんでしょう?」
「いやぁ」
ドゥーマがアフリカのサバンナにいた頃の話を始めます。
「ぼくはサバンナで生まれたんだ。サバンナはとても広い。本当に広いところだったよ」
母親ムズーリにとって、ドゥーマと兄のペンダは自慢の息子たちでした。
ところが彼女(ムズーリ)は過保護で、彼(ドゥーマ)に実際に狩りをさせようとはしなかった。
「獲物を見つけたら、体を低くして地面に伏せるのよ。やってみて。」
「OK、こう?」
「そうよ、いいわ。では次ね。」
こんな調子で、ドゥーマには何もさせなかったのです。
「私が捕らえるから、あなたはここにいてよく見ててね。とても危険だから。」
「あぁ…わかったよ…」
そんな二人に独り立ちの日が来ました。
「あなたたちはとても優秀なハンターよ。ペンダ、ドゥーマを助けてやるのよ」
「わかった」
しかし、兄のペンダはドゥーマが臆病だと知っていたので、彼に一人で狩をさせようとしました。
「ドゥーマ、今日は自分の力で狩りをするんだ。」
「えぇ、ぼくが?」
おびえるドゥーマに、
「いつまでも、おれのことを頼っていたら一人前のハンターにはなれない。」
「わかった…」
ドゥーマがシマウマの子どもを追いかけて、あと少しのところで後ろからシマウマの大群が突進して来ました。子どもを救いにきたようです。
「ペンダ~どこ?どうしよう~!」叫ぶドゥーマに、
「ドゥーマ、走れ!」
「兄さん!」
ドゥーマは必死で逃げました。しかし、兄のペンダは・・・シマウマに踏まれて息絶えたのです。
「ペンダ!ゴメンね。死なないで~!」
「俺が心配なのは、お前のことだけだよ」そう言い残して…。
「それからぼくは怖くなって、狩ができなくなった。だから、水だけを飲んでいたんだけど、とうとうお腹がすいてミドル・ワールドに来たんだ。最後の場所を覚えている。こんな木の下で一人ぼっちだった。」
ドゥーマが話し終えると、チャロはつぶやきます。
「みんないろいろな思いを残してここに来ているんだな。」
サバンナの空には、静かに星が輝いていました。
