チャロは休むまもなく翔太とカノンの息子を探しまわる日々をすごしています。
ある日のこと、カノンは宿でチャロの帰りを待っていました。
カノンは戻ってきたチャロに、
「チャロ、息子が迷いの森にいるらしいの。」
「本当?」
「ええ、だから旅立つわ。」
「え?もう逢えないの?」
「そうよ。あなたは翔太を探すのよ。」
「さびしくなるよ・・・だってカノンはまるで・・・大切な友達だもの」
「うれしいわ。」
そう言いながら、チャロの部屋に入ると、
「チャロ、お腹すいていない?」
「うん、ワォ~おいしそうだ!ありがとう」
「ふふ、疲れているのよ。」
「ファ・・・眠くなっちゃった・・・」
カノンは赤い実を食べさせてチャロを優しく寝かしつけます。
そして、チャロの寝顔を見ながら生まれた頃を思い出すのでした。
飼い主のサナエが病気で餌をもらえず、チャロが泣いていたことを・・・
「チャロ、あなたが生まれたばかりの頃ミルクをあげられなかったわね」
「ママ、ママお腹すいたよ・・・ママ、ママ!」
「もう少し待って。サナエがすぐ戻るから・・・」
「ママ、ママ!ボクはお腹がすいたんだよ~」
「ごめんなさい。彼女が戻ったらミルクを作ってあげるから・・・」
泣いているチャロを見ながら、カノンの心は張り裂けそうになっていました。
「やっとおなかいっぱい食べさせてあげることができたわ。やっと…」と、満足するカノン。
「チャロ、幸せにね。」
朝が来て、チャロに優しくキスして部屋を去ろうとするカノン。
そんな彼女にナムタカが声を掛けます。
「去るのか?」
「ええ・・・」
「何も言わずにか?」
「私のわがままよ。もしあの子が目を覚ましていたら、別れることができないでしょう。だって、あの子を愛しているんですもの」
「彼になんと伝えたらいいのかな?」
「強く、強く生きて!と」
カノンはそんなメッセージをナムタカに託しました。
そして、チャロが眠っている間に宿を出ます。
そんなカノンを、ナムタカはひとり見送るのでした。
一方チャロは、公園に捨てられていたときの悲しい夢を見ていました。
「ママ、どこ?ママ、どこにいるの?」
その声の響きに目が覚めるチャロ。
窓から朝の光がさし、昨夜のことを思い出します。
「カノンはどこ?カノン!」
「チャロ、カノンは去ったよ」
「ええ?どこへ?」
「さあな。ただ言えるのは、カノンがもう戻ってこないということだ」
「どういうこと?何か言っていなかった?」
「強く生きて…とな。」
「カノン・・・せめて、さよならくらい言ってくれてもいいのに…。」
「カノ~ン!!!」
そう叫ぶ声が空に響きます。
