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チャロ2 41話:一時間

トムじいは、チャロに過去のことを話し出しました。
「わしは時間と闘って負けたんじゃ」

トムじいが60歳のときセイラの両親が事故で亡くなってしまったので、孫娘のセイラとトムじいは二人きりで暮らしていたのです。
しかし、トムじいはその事実を受け入れることができず、時間を戻す研究に没頭し、セイラをかまってやりませんでした。
でもセイラは、そんなトムじいがいる実験室にやってきて、話しかけます。
「この新しいドレス、どう?」
「わしは忙しいんじゃ。」
「おじいちゃん、アップルパイ焼いたのよ。一口食べてみて。」
「・・・」
「おいしい?」とやさしく話しかけても、
「まあね」
そう言って、セイラと向き合うことがなかったのです。
やがて、セイラは成長して結婚し、子供を身ごもったころ、トムじいは不治の病にかかっていることがわかりました。

「わしは大事なことを忘れていたんだ。セイラとの時間はかけがえのない大切なものだった。私たちは今を生きているんだ。過去じゃない。死ぬ間際にやっとわかったんだ。」
「ふーん」
「うまかった!なぜセイラにあのアップルパイはうまかった、と言えなかったのだろう。」
時が過ぎ、トムじいは容態が悪化していきました。
「セイラの赤ん坊は、その日の3時に生まれる予定だった。だから、わしは3時までなんとか持ちこたえようとした。だが、目前で力尽きたよ。」
なんと、トムじいは子供が生まれる予定の1時間前に現世を去ってしまったのです。
「あと1時間長生きしたら、赤ん坊に会えたのに。それは感じ方によるものなのだろう。待っていると長く感じる。楽しいときは短い…」
「そうなんだ。僕も、翔太のことを考えるとあっという間に時間が過ぎてしまうんだ。」
「そうか?」
「翔太のくれたこのバンドのメッセージ『未来は君に』を見ていると時を忘れるんだ。」
チャロはトムじいに話すのでした。
「なんとすばらしいメッセージだ。」
二人が話に夢中になっていると、時計が3時を告げたました。
その時!
「オギャァ!」
待ちに待ったトムじいのひ孫の産声が、モニターから聞こえたのです。
「おお、生まれたぞ。時間が進んだ。」
「おめでとう!よかったね。」
「チャロ、お前が話し相手になってくれたおかげで時間が進んだぞ。ありがとう。」
トムじいはチャロに感謝の言葉を残すと、満足して死の国へと旅立ったのです。
「さよなら、トム」
「グッバイ、ちいさな仲間よ。」
そういうとトムじいは森の動物たちを1匹ずつ指さしたので、動物は一瞬止まってしまいます。
「トムじい、そんなことしたらダメだよ^^」
そんなチャロの声が聞こえていないのか、楽しげに死の国へ向かうトムじい。


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